たまに京暮らし5-24_京都図絵
小学館P&D BOOKS 水上勉著「私版 京都図絵」を読んだ。
著者は大正8年若狭の寒村に生まれ、9歳のとき相国寺塔頭に小僧に出された。
何度か脱走し、14歳で等持院に移ったが、21歳のとき京都を捨て東京に出たという。
代表作に「五番町夕霧楼」や「金閣炎上」がある。
以前読んだ、酒井順子著「金閣寺の燃やし方」では、「金閣炎上」と三島由紀夫の「金閣寺」を対比し、金閣寺放火犯の学僧と水上勉の境遇が大変似ていることから、「金閣炎上」をノンフィクションと捉えていた。
本書では、著者が精神形成期に12年暮らした京都の記憶を辿る。
六孫王神社界隈から始まり、五番町遊郭附近、今宮神社界隈、相国寺塔頭瑞春院、衣笠山等持院、東山二条 産寧坂、千本丸太町附近、保津峡曲り淵、嵯峨鳥居本界隈、大原桂徳院界隈、と続く。
辛い修行から逃げ出した不良学生、破戒僧だと認めるが、文化都市京都で過ごせて幸福だったかもしれない、という。