京都二拠点生活3-16_手のひらの京
京都出身の37歳、早大在学中の19歳の時に「蹴りたい背中」で芥川賞を受賞した。
「蛇にピアス」で同時受賞した金原ひとみも20歳と若く、話題の二作を載せた文藝春秋を当時買い求めた。
あれから18年、今は専業作家と育児を両立しているそうだ。
本作は、京都で生まれ育った三姉妹の話で、京の風景や生活が垣間見えて興味深い。
家は二階の物干し場から左大文字がすぐ近くに見え、歩いても30分ほど、とあるので、金閣寺の付近だろうか。
末娘が通う大学院の背後には衣笠山があり、家から歩ける距離なので、これは立命館かな、とか想像するのも楽しい。
幼い頃から、その山に入ってはいけない、あのエリアはダメ、あの川付近もダメ、と親に言い渡される場所が多く、子ども時代は遊ぶ場所に苦労した、とある。
引越したいと訴えると、穏やかな長姉も「この土地の複雑さに私はついていけない」と呼応するのが面白い。